行政書士事務所を開業したての時期や、地域密着で事業を展開する個人事業主にとって、名刺、チラシ、ポスターなどの販促物をどのように準備するかは一つの課題です。

「外注するほどの予算は割けないけれど、ある程度整ったデザインにしたい」

「Illustrator(イラストレーター)を一から導入して操作を覚えるのは時間的に厳しい」

このような状況において、当事務所で実際に試行錯誤した事例を交えながら、費用を抑えつつ一定のクオリティを確保するための実用的な流れをご紹介します。

1. 【実践事例】地域の郵便局へ自作のポスターを掲出

当事務所では先日、郵便局の有料広告サービスを利用し、志免町内にある南里郵便局、志免本通郵便局、亀山郵便局の3局に、B2サイズのポスターを掲出させていただきました。

ちなみに右下のイラストは、本人写真をもとに複数の生成AIに頑張って描いてもらいました(笑)。

最終的には「もう少し若見えで」「ほうれい線薄め」など、こちらの細かい注文にも付き合ってもらっています。

郵便局の広告サービスでは、掲出にあたり内容の確認が行われます。そのため、地域の方にとっては、郵便局の掲示スペースに掲示されていること自体が、一定の安心感につながる場合もあるように感じています。

地域の方に知っていただくきっかけ

郵便局は、幅広い年代の方が日常的に利用する身近な場所です。窓口での待ち時間などにポスターをご覧いただくことで、「近くに行政書士事務所があるんだ」と知っていただくきっかけにもなればと思います。

郵便局広告のご案内(日本郵政コミュニケーションズ公式)はこちら

では、この大判ポスターをどのように低コストで、実用的なクオリティを保ちながら作成したのか。以下、その手順をご紹介します。

2. PowerPointでの作成で行き詰まりやすい理由

初期の段階では、使い慣れたPowerPoint(パワポ)での作成を検討される方も多いかと思います。事務書類の延長としては便利ですが、販促物として仕上げようとすると、どこか物足りなさや野暮ったさが残ってしまうことがあります。

その大きな要因の一つが「フォント(書体)」の選択肢と調整の難しさです。

デザインにおいてフォントは全体の印象を左右する重要な要素ですが、一般的なビジネスソフトではフォントのバリエーションが限られるほか、文字と文字の間隔(字間)の微調整が難しく、配置が思うように決まらない傾向があります。

3. オンラインデザインツール「Canva」の選択

そこで有力な選択肢となったのが、オンラインデザインツールのCanva(キャンバ)です。近年、非常に認知度の高まっているツールですが、実際に使用してみると、無料版の範囲でも大変優れた機能を持っていることが分かります。

💡 実際に使用して感じたメリット

  • 豊富なテンプレート
    最大の魅力は、プロがデザインしたテンプレートを豊富に利用できることです。業種や用途ごとのデザインが数多く用意されており、それをベースに写真や文章、色合いを自分用に変更するだけでも、見栄えの良い販促物を比較的短時間で作成できます。
  • 豊富なフォントと文字詰めの機能 デザインに調和するフォントが多数用意されているだけでなく、仕上がりを整えるための「字間調整(文字詰め)」が直感的に行えます。
  • 無料版(RGB形式)でも実用レベルの仕上がり 有料版では印刷に適した「CMYK形式」での出力が可能ですが、無料版の「RGB形式」のまま書き出して印刷に回しても、よほど色味にシビアなものでない限り、一般的な販促物としては十分なクオリティで仕上がります。(※CMYKとRGBの違いについてはそれだけで1本の記事になってしまうので割愛します💦)

なお、このポスターもCanvaのテンプレートをそのまま使用したわけではありません。テンプレートをベースに、配色やレイアウト、フォント、掲載内容などを自分なりに調整し、事務所の雰囲気に合うようアレンジしています。

かつてはIllustratorのような専門ソフトが必要だった領域ですが、Canvaは専門ソフトほど多機能ではないものの、一般的なチラシやポスターであれば、無料版でも十分満足できる仕上がりでした。

……無料版でも十分満足できる仕上がりでした。 ➔ オンラインデザインツール「Canva」はこちら

4. Canvaとラクスルを組み合わせるメリット

Canvaには画面内からそのまま印刷を注文できる機能も備わっていますが、コスト面を考慮するとやや割高になるケースがあります。

費用を抑えるための工夫として、印刷通販の「ラクスル」を組み合わせる方法がおすすめです。

私は、名刺やチラシもCanvaでデザイン、ラクスルで印刷にしました。用紙の種類も豊富で、チラシだと3つ折りや二つ折りなどの指定もできて大変便利です。

現在、Canvaで作ったデザインデータ(PDFなど)は、そのままスムーズにラクスルへ入稿できるよう連携が整っています。ラクスル側からCanvaのデータを呼び出すだけでOK。入稿の手間をそれほどかけずに、印刷費用を大幅に抑えることが可能です。

5. 印刷からポスティングまで一元管理できるメリット

また、ラクスルを活用するもう一つの利点は、印刷だけでなく「そのままポスティングの手配までオンライン上で完結できる」点にあります。

仕上がった大量のチラシを一度事務所で受け取り、自身で配って回る労力をかけることなく、画面上で配布したいエリアを地図を見ながら選択し、部数を指定するだけで、印刷から配布までを委託することができます。

印刷から配布までワンストップで完結できてしまうのは本当にすごい助かります。

……印刷費用を大幅に抑えることが可能です。 ➔ 印刷通販「ラクスル」はこちら

🛠️ まとめ:開業初期における販促パッケージの流れ

今回検討・実践した、コストパフォーマンスに優れた一連の流れは以下の通りです。

  1. Canva(無料版)を使い、名刺やポスターをデザインする
  2. データをラクスルへ入稿して低コストで印刷する
  3. 必要に応じて、ラクスルの仕組みからそのまま対象地域へポスティングを手配する

🍏 補足:誰もが「美しい文字」を扱える現代の背景

余談ですが(笑)、最後に少し歴史的な背景を振り返ると、このように誰もが手元で手軽に質の高いDTP(机上出版)を行えるようになった背景には、スティーブ・ジョブズ氏の功績が大きく関わっていると考えられます。

その源流をたどれば、ゼロックスの研究所による基礎技術や、Adobeによる「PostScript(ポストスクリプト)」の開発、それに応じたAppleのレーザープリンタ「LaserWriter」の登場など、多くの技術や企業が関わっています。

(※PostScriptとか言ってるとまたまた記事が1本分になるのでここでは割愛します💦)

それらの技術を組み合わせ、「一般の人が直感的に使えるシステム」として世に送り出すうえで、スティーブ・ジョブズ氏が果たした役割は非常に大きかったと言われています。

彼が大学を中退した後に潜り込んだ「カリグラフィー(西洋書道)」の講義で、文字の美しさや間隔の様式美に魅了されたことが、後のMacintoshへの美しいフォント搭載へと繋がりました。そして、画面で見ているものをそのまま印刷する「WYSIWYG(ウィジウィグ)」という、現代では当たり前となった環境の基礎が築かれたと言われています。

先人たちが磨き上げてきた「フォントとデザインの恩恵」を、現代の優れたデジタルツールである「Canva」と「ラクスル」を通じて最大限に活かす。

便利なツールは、使って初めて価値があります。開業初期だからこそ、限られた予算を有効に使いながら、自分らしい販促物づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。

「予算は限られているけれど、地域の方へ向けてきちんとした販促物を作りたい」と考えている方は、このようなアプローチを検討してみてはいかがでしょうか。

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