みなさん、こんにちは。
車好きの行政書士です(笑)
ニュースを見て、思わず「なにいっ!?」と声を上げてしまいました。
なんと……あのシトロエン 2CV(ドゥ・セヴォ)が、約80年の時を経て、現代によみがえろうとしているではありませんか!
……いや、正確に言えば、昔の2CVをそのまま復刻するわけではありません。
シトロエンが2026年5月に発表したのは、伝説の2CVの「精神」に着想を得た新しいモデル。 しかも、電気自動車(EV)として登場する予定です。
ステランティスグループが正式発表したプレスリリース(「2 CV IS BACK」)(参照:Stellantis公式プレスリリース)
シトロエンによれば、この新モデルは「手頃で、軽量、実用的で、シンプル」という2CVの考え方を、現代のモビリティとして再解釈するもの。
そして、2026年10月に開催されるパリ・モーターショーで、さらに詳しい情報が発表される予定とのことです。
つまり、2CVそのものが帰ってくるというより、2CVの「思想」が帰ってくる。
これは……元2CV乗りとしては、かなり胸熱です。
ティザー動画に登場した「2頭の馬」
シトロエンが公開したティザー動画では、パリの街を2頭の黒い馬が駆け抜ける、印象的な演出が登場します。
シトロエン公式が公開したティザー動画 An icon is back. がこちら!パリの街を2頭の黒い馬が疾走する演出は必見です。
これ、2CVを知っている人なら「お、おうっ!」となる演出です。
「2CV」は、フランス語で読めば「deux chevaux(2頭の馬)」と受け取ることができます。
ただし、ここは少しややこしいところ。 「2CVだから、エンジンが2馬力」という意味ではありません。
「CV」は、当時のフランスの自動車税制におけるcheval fiscal(課税馬力)に由来するものです。 実際、初期の2CVのエンジンは約9馬力。 「本当に馬2頭分しかないの?」と思ったら、大間違いです(笑)。
つまり、今回のティザー動画に登場する「2頭の馬」は、2CVという名前に込められた「2頭の馬」というイメージを象徴した、なんとも粋な演出なんですね。
そして、この「2頭の馬」という話になると、もう一人、忘れられない人物がいます。
宮崎駿さんです。
2CVと宮崎駿さん、そして「二馬力」
宮崎駿さんが2CVの愛好家で、実際に愛車として2CVに乗っていたことは、2CV好きの間ではよく知られています。
そして、宮崎さんと2CVの関係を語るうえで、「ほほお!」と思うのが、「二馬力」という名前です。
宮崎さんが設立した個人事務所が「二馬力」。 この名前には、2CVの「2馬力」が由来として込められています。
2CVの「2」。そして「CV」から連想される「chevaux(馬)」。それを日本語にすれば、まさに「二馬力」。 面白いネーミングセンスですよね。そして、その「二馬力」という言葉が、宮崎さんの活動を通じて、やがてスタジオジブリにつながっていく。
ルパン三世カリオストロの城で、クラリスが城から逃げるのに乗っていた赤いクルマも2CV。 カーチェイスの末、少しずつバラバラになっていく2CVの内部構造まできっちり描かれていて、思わずニヤリとするところです。
そう考えると、2CVって、単なるフランスの大衆車ではありません。 遠くフランスで生まれた一台の小さなクルマが、日本のアニメーション文化ともつながっている。
納得したうえでティザー動画を見ると、「ああ、やっぱり2CVなんだな」と、ちょっとニヤッとしてしまうのです。
「なにもないけれど、車のすべてがある」
2CVについて書いていると、思い出すのが、自動車評論家の故・徳大寺有恒さんです。
徳大寺さんは、2CVを高く評価していた自動車評論家の一人でした。 実際、2CVについて「スコーンと抜けた明るさがある」と評したり、数字やスペックだけでは測れないクルマの魅力を語ったりしています。
私自身、2CVに乗っていた頃から感じていたのですが、2CVというクルマには、まさにそんな不思議な魅力がありました。

今のクルマと比べれば、何もありません。 豪華な装備もない。 パワーもない。 電子制御などまったくない。
それなのに、乗っていると「クルマって、こういうものだったよな」と思わせてくれる。
私は2CVを思い出すと、つい、 「なにもないけれど、車のすべてがある」 とかなんとかおっしゃってた言葉が浮かんできます。
……ただ、この言葉。こんなようなことを徳大寺さんが言っていたはずなのですが、記憶があいまいで、今となっては確かな出典を確認できません(笑)。「ワイパーはついてるし、ヒーターは暖かい。ほかに何がいるというのだ」みたいなことも言ってたような。。。
でも、2CVというクルマを表現する言葉としては、これほどしっくりくる言葉もないと思うのです。
「農道を走っても卵を割らないクルマ」
2CVのルーツは、1930年代に始まった「TPV(Toute Petite Voiture=とても小さな車)」という開発プロジェクトです。
当時のフランスでは、まだ自動車は誰もが気軽に持てるものではありませんでした。 そこで目指されたのが、「もっと多くの人が買える、安くて、実用的なクルマ」でした。
そして、このクルマに求められたのが、とにかく徹底した実用性。
有名なのが、「農道のような悪路を、バスケットいっぱいの卵を載せて走っても、卵を割らないこと」という発想です。
また、4人を乗せ、荷物を積んで走れることなども要求されました。

つまり、「速いクルマを作ろう」ではありません。 「農家の人が、毎日の生活で本当に使えるクルマを作ろう」という発想だったわけです。
ここが、2CVというクルマの面白いところです。 見た目の奇抜さばかりが注目されますが、その根っこにあるのは、ものすごく真面目な実用主義なんです。
戦争で消えかけた2CV
ところが、この2CVの前身となるTPVプロジェクトは、第二次世界大戦によって大きな影響を受けます。
1939年のパリ・モーターショーで発表される予定だった試作車は、戦争の勃発によって日の目を見ることができませんでした。
戦時中、ドイツ軍によって利用されることを避けるため、多くの試作車は破壊・隠匿されました。 シトロエンの資料によれば、製作された試作車のうち、密かに残されたものもあり、戦後の2CV開発につながっていきます。
そして戦後の1948年。 パリ・モーターショーで、ついに2CVが一般公開されました。
そこから42年間。 2CVは改良を重ねながら生産され続け、1990年7月27日に最後の1台がポルトガルの工場からラインオフ。
その総生産台数は、なんと5,114,969台に達しました。
1948年から数えれば、まさに約80年。 だからこそ、2026年の「2CV復活」というニュースには、特別な意味があるわけです。
なにを隠そう、私は「2CV」を2台乗り継いだ男です
……と、ここまで偉そうに2CVについて語ってきましたが。
なにを隠そう、私は過去に2CVを2台乗り継いだ男です。
はい。 好きだったんです。 かなり。

今思えば、よく乗っていたなと思います(笑)。
はじめて現物を見たのが18歳のころだったか。先輩の乗るルノー5に乗せてもらって立ち寄った、当時の西武自動車に飾られていて、初めて見たときはなんだこれ?でした。200万円後半のプライスだった気がするのですが、なんでこんな変な古臭いのが200万なの?さすがガイシャは違うなーくらいに思ってました(笑)
愛称は「みにくいアヒルの子」でしたらね。
世の中には、2CVをEVに改造してしまう猛者もいるくらい、熱心なファンがいるクルマです。 私自身も、実際に所有していたからこそ分かる「現代のクルマでは考えられない世界」を、いろいろ経験しました。
アルゼンチンからタイヤを取り寄せる
「国内で適合するミシュランのタイヤがない!」独特のほっそいタイヤがミシュランにしかないんです。 ということで、確かアルゼンチンから取り寄せたことがありました。 今ならインターネットで何でも探せそうですが、当時はインターネットなんてなかったので、今ほど簡単ではありません。 タイヤひとつで、なぜそこまで苦労するのか。 でも、2CVに乗っていると、それすらも楽しかったんですよね。
ガソリンホースが切れる
出先でガソリンホースが断裂。 普通のクルマなら、「ロードサービスを呼びましょう」となるところです。 ところが2CVは構造が簡単ですから、ホームセンターで草刈り機用のチューブを買ってきて応急処置。 ……いや、今考えると、なかなかワイルドです(笑)。
床に穴が開く
年式相応に床が腐食して、穴が開く。 これも普通の現代車なら一大事です。 しかし2CVの場合、鉄板を敷いて塞ぐ。 以上。ストロングスタイルです(笑)。
極寒の冬、暖房問題
そして、個人的に忘れられないのが暖房。 暖房用のパイプがボロボロになってしまったので、ファンヒーターの温風をコタツに送るときに使う蛇腹のダクトパイプを流用してつないだこともありました。
今思えば、「そこまでして乗るか?」という話なんですが。 乗るんですよ。 2CV乗りというのは、そういう生き物なんです(笑)。

あ、当たり前ですがエアコンなんかありません。
暑いときはフロントガラスの下のノブを回すとパネルが開いて風がダイレクトに当たります。
もちろんエアバッグもないですよ。 窓ガラスだって半分で折りたたんでピンでとめるスタイル。
でも、最後は手放しました
そんな2CVですが、私は結局、手放すことになりました。
当時は仕事で全国を飛び回る生活。 子育てもあり、家族の生活もある。 2CVを維持するための時間や手間を楽しむ余裕が、少しずつなくなっていきました。
本当は手放したくなかった。 でも、生活の中でクルマに割ける時間には限界があります。 泣く泣く手放しました。
……そして今になって思います。 「あの2CV、今も持っていたら結構な資産になっていたんじゃないか?」(笑)。
まあ、これは考えないことにしましょう。
2026年、2CVの「思想」が帰ってくる
そんな私に飛び込んできたのが、今回のニュースです。
シトロエンは2026年5月、2CVの精神を受け継ぐ新しいモデルを開発し、2026年10月のパリ・モーターショーで詳細を発表すると正式に発表しました。
しかも、その新モデルは電動車。
シトロエンが掲げているのは、「手頃で、シンプルで、実用的で、軽快」という、まさに2CVが大切にしてきた考え方です。
もちろん、1948年の2CVと2026年のEVでは、時代も技術もまったく違います。
昔の2CVのように、「床に穴が開いたから鉄板を敷こう」とは、さすがにならないでしょう(笑)。
でも、「必要以上に豪華にするのではなく、必要なものを、手の届く価格で提供する」という思想が本当に現代によみがえるのであれば、これは単なるレトロカーの復活ではありません。
むしろ、今の時代だからこそ意味のある「2CV」なのかもしれません。
日本にも来てくれないかな……
さて。ここからは、元2CV乗りの妄想です。
日本にも導入してくれないかなあ。 できれば右ハンドル。 そして、できれば日本の充電インフラ事情にも対応してほしい。
もしCHAdeMOにも対応して、日本で正式発売なんてことになったら……胸熱すぎます。
ただし、2026年9月現在、日本導入や日本仕様の詳細については、まだ正式に決まった情報として確認できる段階ではありません。 ですから、ここはあくまで、「そうなったらいいな」という元2CV乗りの願望です(笑)。
そして、いまになって思うこと……
昔2CVに乗っていた頃の私は、「この車、次はどこが壊れるんだろう?」「今日はエンジンかかるかな?」とかばかり考えていました。
でも、もし令和の時代に新しい2CV(EV)が日本にやってきたら……。
今の私が考えるのは「どこが故障するか」ではなく、「どうやったら家族を説得してもう一度購入できるか」です(笑)。
そして職業柄、つい「この新しいEVは軽自動車枠なのか、登録車なのか? 税金や補助金はどうなるんだろう?」なんて書類の心配まで頭をよぎってしまう。
昔はオイルで手を汚しながら2CVのボンネットを開けていたのに、今じゃ法律や制度の書類を開いている。人生、どこでどう変わるか分からないものですね。
2CVは「古いクルマ」ではなかったのかもしれない
2CVが最初に作られたのは、まだ自動車が「特別なもの」だった時代です。
だからこそ、安く、簡単に、壊れにくく、誰でも使えるクルマを作る。 そんな思想が必要でした。
そして 2026年。今度はEVという、まったく違う技術で2CVの精神を再解釈しようとしている。
時代は変わりました。 エンジンはモーターになり、車体は大きく重くなり、クルマそのものもコンピューターのようになりました。
それでも、「本当に必要なものは何なのか」という問いは、昔も今も変わらないのかもしれません。
そう考えると、2CVというクルマは、単に「昔のフランス車」だったわけではないのでしょう。 むしろ、時代を先取りしたクルマだったのかもしれません。
そして2026年10月。 パリ・モーターショーで、いよいよその姿が明らかになります。
元2CV乗りとしては、今から楽しみで仕方ありません。
もし本当に日本にやってきたら……。 そのときは、「元2CV乗り行政書士、再び2CVを買う」なんて記事を書いているかもしれません。
……いや、家族に怒られるな(笑)。


