行政書士試験を受ける前の年、私は一つの大きな挑戦をしていました。

それが、クラウドコンピューティングの資格「AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト(SAA)」の取得です。

「AWS? なにそれ美味しいの?」と思われるかもしれません。 AWSとは、Amazon Web Servicesの略。そうです、あのAmazonです。

Amazonといえば、「段ボールですぐ届けてくれるお買い物業者」や「映画が見放題のアマプラ」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、それはAmazonという巨大な氷山の、ほんの一角に過ぎません。その本質は、世界中のWebサービスがその上で動いている「巨大なクラウド基盤」なのです。

皆さんが日々触っているスマホのアプリやWebサービスも、裏側では相当な割合でAWSが使われています。ごくごく稀に大規模な障害が起きて「ゲームができない」「チケットが取れない」と騒ぎになるのは、それだけAWSが私たちの生活に密着している証拠でもあります。

私は、そんな巨大なクラウドシステムの設計・管理を証明する資格に挑みました。 現在は法律用語を扱う毎日ですが、当時はIT用語という、これまた別の意味で難解な「言葉の壁」に苦戦する日々が始まったのです。

■ IT用語と格闘した6ヶ月

「リージョン」「デプロイ」「インスタンス」「S3」「オートスケーリング」……。は???

「VPC」「IAM」「S3」「アベイラビリティゾーン」「エッジロケーション」……。ひらがなと漢字はどこだ?? ってくらい英単語を略した3文字アルファベットとカタカナばかり。

参考書や問題集を開けば、馴染みのないカタカナやアルファベットの嵐です。行政書士試験の勉強でも法律用語には苦労しましたが、ITの世界も独特のコトバが多く、これらを一つずつ理解して脳内にインデックスを貼っていく作業には、半年ほどの時間を要しました。

このころはまだ今ほどAIの実用性もなかったので、Webで情報を探しつつ本をめくり、AWSの画面で実際に手を動かして勉強していきました。そんななかで重宝したのは、オンライン学習講座の「Udemy」でした。

もう独学で紙の参考書だけでは無理でした。というのも、AWSは日々猛スピードで進化しているからです。 私たちが普段使っているAmazonのお買い物画面も、実は裏側では毎日のように、サービスを止めることなく機能の更新(デプロイ)が繰り返されているといいます。

資格試験の内容もその進化を追いかけるため、短いスパンでアップデートされます。そのため、出版されている本の内容と、実際の試験問題や操作画面、さらにはサービス名までもが「昨日と今日で違う」なんてことが珍しくありません。

その点、Udemyだと講義内容や操作UIの変更も即座に更新されていて、戸惑うことがなかったのが素晴らしかった。参考書も購入してはみましたがIT資格の勉強に関しては紙の本だけでは無理、と強く感じました。

■ 万全を期した「オンライン試験」の申し込み

ようやく模擬試験でも手応えを掴み、いよいよ試験当日を迎えました。 今回私が選択したのは、自宅やオフィスから受験できる「オンライン試験」というスタイルです。

AWSの認定試験には、Foundational(基礎)からProfessional(プロフェッショナル)までいくつかのレベルがありますが、私が挑んだのは「Solutions Architect - Associate」。幅広い AWS サービスに関する技術的な知識とスキルを検証します。とあります。

人により難易度の感じ方も違いますが、中くらいの難易度でしょうか。IT資格は世に様々あり、上には上の「限りなく上位の神資格」もありますから。実際、現場で本当にすごい人は意外と資格なんかもってなかったりすることもよくあります。

さて、この試験をオンラインで受けるためのルールは、非常に厳格です。AWSの規定(Pearson VUE)によれば、以下の条件を満たす必要があります。

  • プライベートな空間であること。
  • 受験者自身のPCを使用し、画面共有とウェブカメラで常に監視されること。
  • 試験監督員(プロクター)とリアルタイムで対話し、環境チェックを受けること。

日本語での監督は時間が限られていますが(月〜土の9時〜16時)、私は万全を期してこの枠で申し込みました。

「いつもの慣れたオフィスなら、リラックスして実力を発揮できるはずだ」

……この時はまだ、その先に待ち受ける「想定外の事態」など、微塵も疑っていませんでした。

(後編へ続く)

\ 最新情報をチェック /