行政書士試験2026の本試験まで半年を切り、学習計画の見直しをされている方も多いのではないでしょうか。この時期になると、「記述式は配点も大きいけど、全然書けないから、まずは択一式で合格点を狙おう」という方針が頭をよぎることも珍しくありません。

私自身、昨年合格した立場から振り返ると、その選択が必ずしも間違いとは言えない一方で、「少しもったいないかもしれないですよ」と感じる部分もあります。

なぜなら、記述式の練習をすることは、単に記述の得点力を上げるためだけではなく、バラバラだった知識を結びつけ、択一式の点数を底上げする効果が期待できるからです。

最初は本当にわけがわからない、けれど……

記述式の問題を初めて見たときや、初期の段階では、「本当に何も書けない」「何から手をつけていいか、わけがわからない」という状態になるのがむしろ一般的だと思います。私自身も本当にそうでした。

しかし、そこで諦めずに何度も問題に触れて、それこそ最初はとにかく解説の模範解答を真似して書いているうちに、ある時ふと「解き方の型」が見えてきました。

記述式の多くは、問題文の事例に対して、

  • 「誰を(または何を)対象に」
  • 「何に基づいて(法的根拠)」
  • 「いつまでに(期限や要件)」
  • 「どのような手続き・請求をするのか(効果)」

といった要素を、パズルのように当てはめていくと、自ずと答えの骨組みが浮かんでくるような構造になっています。

記述式の学習は、バラバラだった知識をつなぐ「接着剤」のような役割も果たしてくれます。記述の練習で手を動かして書いているうちに、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法などの関係性や、民法の細かい条文など、それまで頭の中でバラバラだった知識が不思議とつながっていきました。結果として、択一式の問題を解く際にも、理解が一段と深まっていくのを実感したのです。

忘れる前提で「周回」する。私のスケジュール的な反省

今くらいの時期におすすめしたいのは、記述の問題集の例題をまず2〜3周書いてみることです。「せっかく書いても忘れてしまう」と不安になるかもしれませんが、一度覚えても時間が経てば薄れていくのは自然なことです。それはみんな同じです。だからこそ、忘れた頃に見直せるよう、もう1周重ねればいいのです。

ただ、スケジュールに関しては、私自身の反省点もあります。当時はわりと適当に計画を立てていたのですが、今思い起こすと、「いつまでに、何を、どこまでやるか」をある程度きっちり計画すべきだったと感じています。

「10月に模擬テストをやってみよう」「9月までに苦手な商法を仕上げよう」といったマイルストーンを置かず、なんとなく進めてしまったため、どんどん期日が迫ってきて最後になって本当に慌てることになりました。皆様にはぜひ、大まかでも良いので逆算したスケジュールを立てることをおすすめします。

【おすすめの練習ヒント】見出しのマスキング

ここで、私が最終的にやっていた記述練習のちょっとした小ワザをご紹介します。

市販の問題集やテキストを使う際、ページの上のほうに「債権の効力・債務不履行」とか「担保物権・抵当権侵害」といった章タイトルが書かれていますよね。実はこれ、問題を解くときに目に入ってしまうと、それだけで大きなヒントになってしまうんです。

本試験では当然、そんなヒントは与えられません。自分で事例を見て「これは何の論点か」を引っ張り出す必要があります。そのため、私は最終的にはここの見出しの部分をマスキング(目隠し)して、完全にノーヒントの状態で事例と向き合う練習をしていました。これはとても実戦的な鍛錬になるのでおすすめです。

満点を狙わなくても「部分点」を積み上げる

この構造の法則性や法律の「型」が自分の中でつながり、論点が見抜けるようになれば、記述式への苦手意識はかなり薄れてくるはずです。

記述式は、40字程度で完璧な模範解答を書けなければゼロ点になるわけではありません。出題の意図を正しく理解したうえで、必要なキーワードや要件が盛り込まれていれば、一定の評価につながることも期待できます。※部分点の有無など含め採点基準は公表されていません。

完璧を求めず、まずは1日1問でもペンを握って「誰が、何に基づいて、どうするのか」を書き出してみる。そのアウトプットの繰り返しが知識の隙間を埋め、結果として択一式のひっかけ問題を見抜く力(正確な要件の理解)にも連動していきます。

テキストの「謎の難問」に深入りしない

また、記述の練習をしていると、「本当にここまで問われるのだろうか」と感じるような難解でマイナーな問題に出会うことがあります。しかし、そのような問題に時間をかけ過ぎるよりも、まずは頻出論点や基本事項を確実に身につけることの方が大切だと私は感じています。

大学受験のたとえば数学でも、応用的な難しい分野に溺れるより、基本の「数ⅠA」でしっかり点数をとれれば全体の合格点をクリアできたりしますよね。行政書士試験にも、確実に解くべき問題と、深追いしなくてもいい問題というのがあります。

今から準備しておけばよかった「当日持込用の最後のノート」

スケジュール以外にも、もうひとつ「しておけばよかったな」と今になって思うことがあります。それは、「試験会場に持ち込むための、最後のまとめノート」を早い段階から少しずつ作っておけばよかった、ということです。

試験当日、会場に入ってから開始時間までの時間を過ごす際、何冊も重いテキストを持ち込むことは現実的ではありませんし、直前にそれらを広げても、かえって視界がブレて焦りを生む原因になり得ます。会場には分厚い六法を持ち込んでいる方や、びっしりと書き込まれた参考書を積み上げている方もいて、圧倒されることもあります。

記述の練習や日々の周回の中で、「最後までどうしても覚えられない要件」や「直前に必ず目を通したい型」を、コンパクトなノートやルーズリーフ数枚にまとめておく。それがあれば、当日はその1冊だけを持って会場に向かい、落ち着いて最終チェックができたはずだなと反省しています。ぜひ、今からの学習の中で「直前に見る自分の相棒」を育てる意識を持ってみてください。

ひとりで黙々と勉強と向き合っていると、「自分だけが取り残されているような気がして」焦ることもあるかと思います。ですが、自分が苦手だと思っているものは、きっと周りの受験生のみんなも苦手なんです。

完璧な受験生はいません。一歩一歩の積み重ねが、必ず本試験での力になります。皆様の努力が実を結び、サクラサク春を迎えられることを心より応援しております。

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