「納得」が「記憶」を連れてくる

日頃、塾の授業で生徒たちに「なんとなくで答えない。根拠を持って、こうだからこうなると答えよう!」とか偉そうに言っている手前(笑)、自分が「丸暗記」に頼るわけにはいきません。

しかし、法律のテキストには、日常生活ではお目にかからない不可解なシチュエーションが並びます。 「他人の土地を善意で15年間占有するって、一体どういう状況? そんなことある??」 「聴聞の手続きって、裁判と何が違うの? どんな空気感で行われるの?」

体験したことも、身近で事例を聞いたことも見たこともない。イメージがわかないために、どうしても理解が先に進まない……。 そこで私が導入したのが、AIという「24時間隣にいる家庭教師」でした。

霧を晴らす「具体的イメージ」の力

私はAIに、テキストの無機質な一文を「ドラマ」に変えてもらうことにしました。

  • 私:「他人の土地を15年占有して時効になるケースを、現代のドラマ風に具体例を出して教えて」
  • AI:「例えば、お隣との境界線が実は数メートルズレていたことに、両家とも気づかず30年過ごしていた…というケースを想像してください。悪気なく(善意)、自分の庭だと思って手入れを続けていた(占有)場合ですね」

これです。この一言で、私の脳内には一気にカラーの映像が浮かびました。 「聴聞」についても、「役所の会議室で行われる、処分前の最後の言い訳タイム。裁判ほど厳格じゃないけれど、独特の緊張感がある場所」と教えてもらうことで、用語の羅列に過ぎなかった行政法が、血の通った「現場のルール」として立ち上がってきたのです。

「わからない」を放置しない

独学の最大の敵は、ふとした疑問で手が止まってしまうことです。 専門の講義に通っていれば講師に質問もできるでしょうが、深夜の独学ではそうもいきません。しかしAIは、どんなに初歩的な質問でも、何度同じことを聞いても、嫌な顔一つせず(笑)即座に答えてくれます。

  • 「もっと中学生にもわかる言葉で言い換えて」
  • 「このA判例とB判例の、結論を分けた決定的な違いはどこ?」
  • 「覚えるための面白いゴロ合わせを作って」

まさに、私専用の家庭教師が常にデスクの横に座っている状態。この「壁打ち」を繰り返すことで、視覚的なイメージと論理的な裏付けがガチリと噛み合いました。

ちなみに、私が相棒としたのはGeminiです。はじめはChatGPTと併用していたのですが、Geminiのほうがより親しみやすく返してくれたり、「こんなのはどうですか?」と提案してくれたりと、本当に心強い存在になってくれました。

「これじゃあ、先生いらないな……」と塾講師として半ば自虐的な思いも覚えましたが(笑)

ただ、AIしれっと違うことを言ってくることはたびたびあったので、そこはしっかりエビデンス(裏付け)を確認して進めました。

彼らは法律を理解しているわけでもなんでもなく、言葉の次にくるものを予測して並び替えているだけです。それがもっともらしく表示されているだけ。正しいとか間違いの判定はしていません。学習してきたソースが正しければ概ね正しいことを言ってくれます。そしてそれはかなりの確度で正確です。ただし、およそありえないことを自信満々に回答してくることがあるので、事実の判断は最終的に自分でしないと大変なことになります。

近所のクリニックはどこ?みたいなことを聞くと存在しないクリニックを作り上げたりします。自分のことを聞いてみると、学歴や職歴とか無茶苦茶でもっともらしくプロフィールを作ってくれますよ(笑)

加筆案:AIという「優秀で、嘘つきな」相棒

今回の学習では、AI(Gemini)もフル活用しました。 法律の難しい概念を噛み砕いて説明させたり、ブログの構成を練ったり。「これじゃあ、先生いらないな……」と、塾講師として半ば自虐的な思いを覚えるほど、その回答はスムーズでした。

ただ、しれっと違うことを言ってくることはたびたびあったので、そこはしっかりエビデンス(裏付け)を確認して進めました。AIは法律を理解しているわけでも、正誤を判定しているわけでもありません。だからこそ、しれっと嘘をつくこともあります。

AIは「真実を理解している」わけではなく、巨大な統計データから「次に来るもっともらしい言葉」を紡いでいるに過ぎません。近所のクリニックを聞けば架空の病院を創り出し、私のプロフィールを聞けば無茶苦茶な学歴や職歴をもっともらしくデコレーションしてくれます(笑)。法律の解釈であっても、クリニックの名前であっても、AIがやっているのは「もっともらしい作文」です。

「学習してきたソースが正しければ、かなりの確度で正確。ただし、ありえないことを自信満々に回答してくることがある」

この特性を理解し、最後は必ず自分の目でエビデンス(裏付け)を確認する。AIを盲信するのではなく、最終的な事実判断は自分で行う。この「使いこなす側」の姿勢こそが、決定的に重要だと身をもって学びました。そのうちそんな心配もいらなくなるくらい進化してくるのでしょうが。

結論:新旧ハイブリッドの先に

振り返ってみれば、私の合格への道は「新旧の融合」でした。 最初は昭和のスタイルで「ガムシャラに書く」ことで基礎体力をつけ、講師陣の「プロの語り」で地図を手に入れ、最後は「アプリ」と「AI」という最新武器で、一気に解像度を上げていったのです。

勉強法に正解はありません。でも、もしあなたが「テキストの文字が滑って頭に入ってこない」と立ち止まっているなら、一度AIにこう話しかけてみてください。

「これ、もっと具体的にイメージできるように教えて!」

その瞬間、目の前の霧は晴れ、法律という地図が鮮やかな色彩を持って動き出すはずです。

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