「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎ合わせることなどできない。

できるのは、後から振り返ってつなぎ合わせることだけだ。

だから、我々は今やっていることが、いずれどこかでつながると信じなくてはならない。」

— You can't connect the dots looking forward;

 you can only connect them looking backward.

 So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. 

(Steve Jobs/2005年 スタンフォード大学卒業式スピーチより)

スティーブ・ジョブズを尊敬しています。
世に言う「Apple信者」です。それも昨今のブームではない、筋金入りの(笑)。

私のキャリアを振り返れば、それはまさに「バラバラの点」が繋がるプロセスでした。思えば、技術革新と共に自分も成長できた、贅沢な世代だったのかもしれません。

昭和の空気に打たれた「最初の点」

原点は小学6年生。無線屋のオヤジが得意げに叩く、なんでもないdircdコマンド。その黒い画面の上を流れる文字ひとつひとつに目を輝かせ、新聞配達とお年玉で手に入れたのは日立のBasic Master Jr.でした。本当は人気のPC-6001(パピコン)出典:大阪市立科学館 広報誌『うちゅう』2022年8月号 が欲しかったけれど、出入りの電気屋さんは日立だったという大人の事情で……。そんな「昭和の選択」が私のスタートでした。

雪のたくさん積もった正月、自転車が使えず広告満載の重い新聞を橇(そり)に乗せて引いて走り回ったあの日。凍える手で配る私に「ご苦労さん」とお年玉をくれたおじいさんの笑顔。今想いだしてみても「よく頑張った少年」でしたね、そんな自分が、今の私の根っこにあります。

夢のMacintoshと、泥臭い現場の記憶

高校にFM-8があり、友人がFM-7X68000に熱中していた1988年頃。雑誌の向こう側に見つけたMacintoshは、眩しすぎる未来の象徴でした。

Apple_Macintosh_128
Schlaier - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, 出典元(Wikipedia) より引用

しかし、社会人としての出発点は、電力制御という極めて硬い現場。紙テープやパンチカードで半日がかりでプログラムを読み込ませ、20代は深夜残業が当たり前。オフィスではPC-9801のEMSメモリやconfig.sysを「口伝」の知識で書き換えては、フロッピーディスクを入れ替え、ドットプリンタで書類を吐き出す。インフラを支える泥臭いソフトウェアの世界にどっぷり浸かっていました。

【資料】富士通初の実用8ビットパソコン「FM-8」(富士通ミュージアム)
【資料】富士通ミュージアム:FM-7(1982年)
【資料】コンピュータ博物館:シャープ X68000(情報処理学会)
【資料】NECパソコンの歴史:国民機「PC-9801」の誕生(NEC LAVIE公式サイト)

「孤立点」を繋ぎ合わせる

いま、私はAdobe Illustratorで看板のデータを作成しています。 作業中、何もない場所にポツンと残る「×」印。意図せず打たれた、中身のない「孤立点」。データ上では消去すべきゴミでしかありません。 けれど、人生における「孤立点」には、一つも無駄なものはないと思うのです。

塾で教える子供たちは「こんな計算して意味あるの?」「タイパ悪くない?」と言います。さすがはコスパを超えたタイパ重視の世代です(笑)。 しかし、数学は単なる計算ではなく、物事を手順に沿って正確に、スピードをもってやり遂げるための「思考のトレーニング」だと思うのです。その瞬間には意味が見いだせなくても、必死に手を動かした記憶は、いつか自分を支える強固な基礎体力(点)になります。

思えば、いまこうして、それなりにIllustratorを扱えているのも、かつて仕事でデザイン事務所に出入りしているうちに、自然と身についた技術でした。当時はまさかこんな形で役立つとは思っていませんでしたが、おかげで看板やロゴのデザイン料分、製作費が安く済みそうです(笑)。

これからの仕事

ジョブズが「興味がない」といってリード大学を中退したあとの「カリグラフィ」の講義という“点”が、後の美しいフォント文化へと繋がったように。私が雪の日に橇を引いたことも、紙テープやパンチカードと格闘したことも、デザイン事務所の空気の中で技術を覚えたことも。

当時は意味を持たない「孤立点」に見えたそれらが、いま「行政書士」という場所で、誰かの困難を解決するための確かな一本の線になったようです。

私がいなくても、世の中は回っていくでしょう。 けれど私は、これまでの人生で打ってきた様々な「点」を総動員して、誰かの人生の「点」を繋ぐお手伝いをしたいと思っています。

複雑なものを、シンプルに。 実直な手仕事で、あなたの明日へ繋がる線を。
(……なんて、少し格好をつけすぎました。まずは、お茶でも飲みながらゆっくりお話ししましょう!)

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